米作りにはさまざまな農具が駆使されます。弥生時代にはすでに、昭和30年代まで使用されていたような鍬(くわ)や鎌(かま)などの基本的セットが存在していたようです。
木製農具はやがて鍬先(くわさき)を初めとして、古墳時代から段階的に鉄製のものに変わっていきます。同じ頃、牛や馬の力を利用する農具である犂(すき)や馬鍬(まんが)も使われはじめました。
江戸時代になると、脱穀具の画期的な発明・千歯扱き(せんばこき)が登場します。千歯扱きは脱穀作業期間を短縮し、裏作栽培の発達を促すことにもなりました。
明治時代には革新的な農法として乾田馬耕(かんでんばこう)が奨励されます。湿田を乾田化し、牛や馬の力を利用して田起こしなどをする馬耕用の犂(すき)が発達しました。
昭和40年代に入ると、長い間農業関係者の夢であった田植機やトラクタ、コンバインなどの農業機械が普及しはじめます。これにより、農作業時間は約6分の1に軽減できたと言われています。そして同時に、数多くの農具が農家の納屋から姿を消していきました。
ここではさまざまな農具を紹介します。今日の農業機械を生み出した父母とも言える伝統の農具。その多年にわたる知恵と技術に学んでこそ、農業のさらなる発展が望めます。その一助となれば幸いです。
米作りはまさに「あしたに星をかずき、夕べに月を踏んで」という、まだ星が出ている早朝から月が姿を見せる夜までの仕事でした。その苦労を共にした農具を、正月や端午には座敷に並べて餅を供えたと言います。農具に、ひとしおの愛着と親しみを感じていた心情がしのばれます。
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