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学校の田んぼレポート
堂島小学校:平成20年度「昔ながらのやり方で、種まきから藁細工(わらざいく)まで挑戦」
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■福島県喜多方市立堂島小学校
堂島小学校の写真 堂島小学校の写真
 
丹藤勉校長先生の写真
福島県喜多方市立堂島小学校
丹藤勉校長先生

22年間の伝統がある米作りに加えて、農業科として、昨年から野菜作りも開始。今年は作ったイモで「イモ煮会」も開催するそうです。 「地域の方々に多大なご協力をいただいています。5人の祖父協力員の方には実習をお願いしています。この地域には三世代同居の方が多く、その良さをいかして子供を育てていけばいいと思います。おじいちゃんやおばあちゃんと3時間ぐらい一緒にいれば、何かを教えられたり、教えたり、子どもたちにとっても、いい時間になると思います。地域の誇りも継承されていくでしょう」

 

(以下、丹藤先生へのインタビューより。聞き手・文責:くぼたのたんぼ管理人)

 
学習のねらい
堂島小学校では、地域の方々のご協力のもと、「昔ながらのやり方」で稲作栽培活動を行っています。平成19年度から「喜多方市小学校農業教育特区」の指定で3年生から6年生を対象に「農業科」が新設されました。農業科の目標である、「『なすことによって学ぶ』精神に基づき、農作業の実体験活動を重視した教育を展開する。」に則り、年間45時間の授業を実施します。1年生、2年生は、生活科(※)により農業を体験するということで取り組んでいます。農作業を通して命の大切さを学び、主体性、社会性を育むことを目標に取り組んでいます。また、地域に誇りを持ってもらいたいという思いから始まった22年間の米作りの伝統を、しっかりと受け継いでいきたいと思っています。

広大な会津盆地に位置する有数の米どころでもあるこの地域で、堂島小学校が米作りを始めたのは22年前です。昭和61年、社会情勢としてはバブル前の景気がいい時代でした。この地域は昔から稲作中心の農村地帯です。米を中心にして栄えた地域として、自分たちの文化を伝えていきたいという判断があったと思います。当時のPTAの役員だった方を中心に、地域のことや、稲作文化を伝えていこうということだったと思います。それはまた、地元がいまあるのは先人が努力してこの地域を作ってきたんだから、「君たちの時代でつぶすなよ」というメッセージだったのかも知れません。生活を変えるなと。変えないでくれと。生活様式は変わるんですが、生活のなかに伝わっている心は変えないでほしいという願いがあったと思います。

子どもたちに学ばせたいのは農業の技術だけではありません。一番は何より、心の教育です。いまの子どもたちは同学年とばかり遊ぶ傾向があります。遊びは大切です。遊びのなかで社会性を勉強しますし、ルールも覚えます。いまは、1年生から6年生までで遊ぶということが少なくなっています。こういった異年齢の集団を構成できるのが学校です。なぜ、わざわざ「昔ながらのやり方」でやるのか。それは、昔ながらのスタイルでは、みんなが力を合わせなければできないからです。1年生から6年生まで、それぞれ体力の差に応じながら役割分担をする。そういったものを通して、さまざまなものを学ぶ機会が得られます。みんなで力を合わせること。作物を育てるという活動を通しての「命の大切さ」「共生」「思いやり」「環境」等についての学習。そして、「ゆとり」や「持続性・耐性」などを育むことが、教育的効果として期待できます。
※生活科の目標
具体的な活動や体験を通して,自分と身近な人々,社会及び自然とのかかわりに関心をもち,自分自身や自分の生活について考えさせるとともに,その過程において生活上必要な習慣や技能を身に付けさせ,自立への基礎を養う。
(文部科学省・小学校学習指導要領より引用)
堂島小学校廊下の写真
 
活動の様子
活動の様子の写真 農業科資料の写真
米作りについては、「昔ながらのやり方」を継承しています。苗箱で種をまいて、育てた苗を手で植えます。除草作業も「転ばし」という道具で行います。稲も、のこぎり鎌で刈り、鉄パイプに掛けて乾燥し、足踏み式脱穀機で脱穀します。脱穀の後は、唐箕(とうみ)を使って、籾(もみ)とゴミを分けます。その後、餅をついて、農作業でお世話になった方々にふるまう収穫祭を行います。藁が残りますので、縄や草鞋(わらじ)を制作する藁細工までやります。こうして、種籾から藁細工までの流れを子どもに体験させます。

地域の方々の多大なる協力も、本校の大きな特色です。田んぼも、22年前から同じ場所を貸していただいています。祖父協力員の方が5人おられます。田植えや稲刈りなどに来て、実習をしていただきます。また、PTAの組織のなかに栽培委員会があり、おもに米作りの支援をしてくださるシステムになっています。栽培委員のなかには、22年前、本校で米作りを体験した方もおられます。栽培委員になられた動機をお訊きしましたら「小学生時代にやって良かったので、いま子どもと一緒にやりたいんです」とのことでした。また、初めて農作業をやる方も多く、子どもたちと一緒に学び、楽しみながら活動されているようです。昨年からは農業高校の生徒に来ていただき、交流会を実施しています。

班は縦割り班で、1年生から6年生までの班を作って作業します。作業そのものは、いつも楽しそうにやっています。6年生は同じことを6回繰り返していますから、1年生、2年生に教えることが可能になっています。畑作業については、イモ類を中心に栽培しました。ジャガイモ、サツマイモ、サトイモなどです。その収穫で、「イモ煮会」を行う予定です。自分の畑でとったイモをみんなで煮て食べましょうということです。校庭の隅で、サトイモとジャガイモ中心で鍋料理を作って、サツマイモはアルミホイルでくるんでたき火に入れてヤキイモにします。
 
活動の成果
異年齢の集団が集まって活動できる場を作ってあげられるのは、学校だと思います。心の病の問題が言われますが、根底には人とコミュニケーションがとれない、自分の思ってることを言えない、相手の言ってることを理解できないという問題があると思います。集団活動をとりいれていけば、そのような問題を予防したり解消するきっかけにもなります。子どもにとってのいやな仕事の一つに、「人の分まで仕事をする」というのがあります。自分のことはやりますが、「何でおれがこんなのやらなければなんないのか」と。そういったことを、高学年になればやらせていく必要があると思います。そしてリーダー的な要素を身につけていかせます。「自分のことだけ」「人のことはかまわない」ではなくて、自分のことはもちろん、人の世話もする。児童は、農業科の活動を通して「共生」の心を学んでいます。

児童の発表では「活動をやって楽しかった」というのが多いんです。その言葉が、少しずつ変わってきます。ただ自分がやって楽しかったではなく、例えば「1年生にこんなことを聞かれて、答えることができたから良かった」「困っている1年生や2年生を助けることができたから良かった」と。他人との関わりのなかでの楽しみを体験できる、体感できる。そうなってくれることを、農業科として、目標の一つにあげています。それには、子供たち自身がそういった体験をしたときに、教師がどう捉えて全体に返してやるかですね。「あ、先生が言ってる楽しみ方はこういうことだったんだな」と。「自分だけが楽しかったっていうのは違うようだ」と。そういったことを感じてくれればいいと思います。
農業科モットーの写真 農業科モットーの写真 農業科モットーの写真
 
今後の課題
今後は、稲刈りについても、多く保護者が関われるように、という意見も出て来ました。授業参観を田植えや稲刈りにしてもらうといいかも知れない、という意見も出ています。親子で田植え、親子で稲刈り。そういったことを考えていけば、学び方もまた変わるかも知れません。農業は、やり方次第で、さまざまな意味で勉強が広がる可能性を持っています。また、農業科では、米作りや野菜作りを通して食育教育もやりやすいと感じます。今後も、人作り心作りに重点を置いて活動していく予定です。 田んぼの写真
 
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